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平安京エイリアン
​ゲームの概要

ゲームの概要

『平安京エイリアン』は、1979年夏に東京大学の理論科学グループ(TSG)が開発した固定画面アクションゲーム。

プレイヤーは検非違使を操り、平安京に侵入したエイリアンを殲滅する。検非違使に出来るのは、落とし穴を掘って落ちたエイリアン埋めるだけ。

「攻め」が無く、敵に対して行うことは「待ち」である。

しかし、どう歩き回るかわからないエイリアンに対して、落とし穴をどう配置するかが重要な戦術的なゲームである。

東大生が開発したゲームということが各メディアで取り上げられ、話題となった。

また、すがやみつる氏の漫画「ゲームセンターあらし」の第6話と第7話で取り上げられ、テクニックも含めて広まった。

​さらに、さまざまな移植版・リメイク版も作られた。

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基本ルール

検非違使碁盤目状の平安京の街路で操作し、落とし穴を掘って、そこに落ちたエイリアンを埋めていく。

街路は実在した平安京と同じく縦横方向の碁盤目になっているが、通れないところもあり、T字路やL字型になっているところもある。検非違使もエイリアンも街路の外に出ることはできない。

検非違使は直接的な攻撃手段を持たず、できることは「穴を掘る」「穴を埋める」のみ。穴掘りボタンを押すと、検非違使の進行方向に穴を掘る。ボタンを押すごとに穴は5段階に大きくなる。最大の大きさになって完成した穴だけに、エイリアンが落ちる。それより小さい穴はエイリアンが通過してしまい、穴も消えてしまう。一方、小さい穴でも検非違使はその上を通ることはできない。

エイリアンが穴に落ちただけでは撃退できず、埋める作業して初めてエイリアンを撃退できる。穴を埋める作業も5段階である。

穴に落ちたエイリアンを埋めると得点になり、落ちてから埋めるまでの時間が短いほど高得点になる。そのとき、ボーナス得点を得られる場合がある。

エイリアンが落ちた穴を埋めずに一定時間経過すると、エイリアンは這い出して復活し、穴も消えてしまう。また、他のエイリアンが穴に落ちたエイリアンに接触すると、救出されてしまい穴も消える。

検非違使がエイリアンに接触すると食べられてしまい、残機が減る。再開時のエイリアンの数は、その直前の数になる。

以上のルールの上で、すべてのエイリアンを撃退するとステージクリアとなる。

​最初のステージではエイリアンは4匹だが、ステージが進むと4匹、6匹、8匹と増加する。次の3ステージでは、また4匹、6匹、8匹と増加と増加するが、エイリアンの移動速度が速くなっている。その次の3ステージではさらに速くなる。

1つのステージで時間を使い過ぎ一定時間が経過してしまうと、エイリアンが16匹に増殖し、しかも最高速になる。

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​システム

2人プレイでは「1人ずつの交互プレイ」と「2人で同時(協力)プレイ」のどちらかを選べる。

検非違使がエイリアンに食べられると、検非違使が昇天するという演出がある。

ゲームプレィのタイムアウトは無いが、1つのステージで一定時間が経過して超高速なエイリアンが16匹に増殖すると、プレィヤーは対応できなくなり、事実上のタイムアウトになる。

ハイスコアを出すと、この頃から定着しつつあったネームエントリー(プレイヤー名前登録)ができる。文字の選択方法はただカーソルを動かすのでなく、検非違使を動かして文字のある道を通過するという、凝った演出になっている。

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テクニック

落とし穴をどう配置するかの戦略が重要なため、さまざまなテクニックが生まれた。これらは当初、マイコン雑誌「I/O」などの記事に書かれたのみで、マイコン少年の間でしか話題にならなかったが、すがやみつる氏の漫画『ゲームセンターあらし』に取り上げられたことで、よく知られるようになった。(「I/O」からの出典であることが書かれている)

 

隠居掘り

検非違使の直前と直後に穴を掘って、ひたすら待つ戦法。

エイリアンの人通りが多い外周街路で行うと良い。エイリアンがなかなか来なくて、時間が来てエイリアン増殖になってしまうことがある。

また、エイリアンが2匹以上で来ると、最初のエイリアンが穴に落ちても次のエイリアンが助けてしまうために逃げ道が無く、特にエイリアンが多い局面では食われる危険性が高い。

 

アキバ掘り

交差点に検非違使を置き、四方向の次の交差点に穴を掘る戦法。

形がJR秋葉原駅に似ていることからこう呼ばれる。隠居掘りよりエイリアンが穴に落ちやすい。隠居彫りよりマシだが、逃げ道がない欠点は同じ。


長野掘り

街路の外周にある交差点に穴を掘り、検非違使はそのすぐ内側で待つ戦法。

エイリアンの人通りが多い外周街路に穴を掘るので効率が良い。しかも、エイリアン2匹が来た場合に、穴の反対側(内側)は空いているので逃げられる。

また、穴を掘っている途中にエイリアンが来ても、エイリアンが交差点に来たときに真っすぐ進むことが多いので、外周街路の内側にいればやり過ごせる確率が高い。

長野県出身のTSGメンバーが編み出したことから命名された。

心臓掘り

迫り来るエイリアンを前にタイミングを計算しながら穴を掘るもの。心臓に悪い技なのでこの名がある。別名、荒川掘り。


伊藤掘り

エイリアンが穴に落ちた直後に埋めると高得点が得られるが、しばらく経ってから埋め始めると得点が低かったり、時間が経って這い出したエイリアンに食われる危険性がある。そこで落ちた穴の隣に新しい穴を掘り、這い出したエイリアンが新しい穴に落ちたら即座に埋めるもの。

TSGメンバーの伊藤氏が編み出したことから命名された。

『ゲームセンターあらし』では、あらしが教わってもいないのにこの技を使ったことで敵が驚くシーンがあり、そのシーンでこれらのテクニックが説明されていた。


イゲタ掘り

一区画に存在する4つの交差点のそれぞれに隣接する2方向(合計8方向)に8つの穴を掘り、完成した形がイゲタ(#)状になるようにする戦法。

隠居掘りやアキバ掘りと違ってエイリアンが進入しても逃げ道がある。しかも、伊藤掘りもしやすい(この位置でエイリアンが穴から這い出しても、絶対に直進する)。

イゲタ掘りだけは「I/O」初出時には収録されておらず(したがって『ゲームセンターあらし』でも紹介されていない)、別冊「マイコンゲームの本1」に再録された時に紹介されたが、あまり広まらなかった。

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長野掘り.jpg
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